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大瀬内 アリサ−1−
小さいころよく遊んだ川。
ここの撮影はいつにしようかな。
あれ。
誰かいる……?
大瀬内さんだ。
水面に太陽が反射して、それが大瀬内さんの髪の毛とかを更に光らせてる。
キラキラして綺麗だな……
アリサ「……あ」
菁「あ……ごめん……。声、かけそびれちゃって……」
アリサ「…………」
大瀬内さんは俺のほうを見たまま、何も答えなかった。
菁「あのさ……ここ、綺麗だよね」
アリサ「……ええ」
とっても優しい顔をしてる。
大瀬内さん。すごく、キレイだ。
菁「今度ここも撮影する予定なんだ。それでさ、ちょっと下見に来たんだけど」
アリサ「……そうですの」
ああ、何かこういうシーンを撮ってもいいかもしれない。撮影の日、大瀬内さんが被写体になってくれないかな……? 頼んでみようかな……
菁「でも、大瀬内さん。こんなとこでどうしたの? 迷った?」
アリサ「…………!?」
菁「え……?」
急に大瀬内さんの表情が変わった。
アリサ「…………」
菁「あの……?」
アリサ「…………」
どうしたんだろう。
黙ったまま、俺のことをずっと睨んでる。
何か変なこと言ったかな、俺。
菁「大瀬内、さん?」
アリサ「…………。…………」
大瀬内さんは川から上がって靴を履くと、俺の顔を一度も見ることなく、そのまま立ち去ってしまった。
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